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暖簾の歴史 |
・のれんは鎌倉時代に中国から輸入されたとする説もありますが、すでに平安時代末期に作られたとする絵巻物などに、庶民の家の軒先に今日の半のれんと全く変わらぬ布が揚げられた様子や長のれんが民家の出入り口に掛けられた様子が描かれています。そうすると、のれんの発祥はさらに古く奈良時代であったとされる説もあるそうです。のれんは鎌倉時代には、帳(とばり)と呼ばれていましたが室町時代末期から暖簾(のうれん:垂れむしろの意)と呼ばれるようになり、喜多院の「職人尽図屏風」の畳師の絵に図柄をみることができます。桃山時代頃から屋号を意味するものを書くようになり、江戸時代になると、紺色以外のものやいろいろな長さのものも用いられるようになりました。さらには暖簾が商家の宣伝用に掛ける屋号や商品名を記したものを言うようになり商家の信用を現すシンボルともなりました。いずれにしても、今や日本の暖簾(のれん・のうれん)は他の国では全く見られない日本独自の伝統・文化といっていいでしょう。
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暖簾の役割 |
・暖簾をあげる、暖簾をおろす、暖簾を守る、暖簾にかかわるなど、商家の浮き沈みの代名詞にまでなった日本の暖簾は、元来日除け、風除け、塵除け、人目をさけるなどを目的として、家々の開放部に張られたことに始まると言われています。しかしながら、今日、日本独自の発展を遂げたのれんは、今では部屋の中の空間を仕切ったり、目隠しとして空間を演出するアート、インテリアとしても注目されています。
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暖簾を楽しむ |
・今でも、京都・古都をおとずれると商家の象徴としてその姿を見せてくれますが、古き良き日本のおもかげをもった和のインテリア・空間を演出するアートとしても多くの人に十分すぎるくらい楽しみを与えてくれます。お部屋の間切りやタペストリーとして自身で自由に空間を演出することができます。仕事や人間関係で疲れた心と体を癒してくれます。
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暖簾の美 |
・「暖簾」の著者であり、写真家の高井潔氏は、のれんの美しさを形容して”結界の美”という言葉を使っています。もともと結界とは、堂塔・伽藍の境域を定めることなのだそうですが、著者の言う結界とは、それほど大袈裟なものではなく、花のれんは楽屋と舞台の結界、女は花嫁のれんをくぐったとき娘から嫁にかわり、商家の暖簾をくぐったとき人はお客様にかわる。つまり、暖簾は異なった二つの世界を隔てる、または、結ぶ”結界の美しさ”があるといっています。
参考資料)
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暖簾がわかるお勧めの本
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異なった二つの世界を隔てる
または、結ぶ
”結界の美”
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